このブログは記事の区切りがつく度投稿しているので、最初から読む場合は投稿日順

つまり古い順に読むことをおすすめします


左にあるラベル毎に続き物の話をまとめています

2014年3月22日土曜日

フォークランド紛争:総括と反省、評価と戦訓(後半 イギリス編)

後半イギリス編です。


イギリスの勝因と反省

イギリスの勝因はアルゼンチンの敗因と同一ですが、イギリスにも反省点は有ります

まずは、海軍艦艇の損失が多いことです
原因としてはアトランティックコンベアーの記事にも書いた通り、
「ハリアーの数が足りない上、哨戒時間が足りないこと」に有ります

上空から敵機の接近を警戒する時間も能力も不足していました。

上空から長時間敵機の接近をレーダーで警戒し続けるという任務には専用の機体がありまして、
「早期警戒機」「AEW」と呼ばれています
航空自衛隊のAEW 「E-2C」
英軍にAEWが無かったわけではないのですが、
如何せんフォークランドは遠すぎた。
E-2Cは空母に載せることを前提に設計され、(その証拠に陸上で運用する機体も主翼が畳める)
現在も米軍では空母に乗せて運用されています

しかし、このような大型機を当時イギリスが保有していた軽空母で運用するのは不可能で、
フランス軍の正規空母「シャルル・ド・ゴール」でも運用は難しいと言われています


英国で同型機がAEWとして運用されていた「フェアリー ガネット」
(ダサイ というかカッコ悪すぎ)
一応、イギリスでも空母に載せるAEWは開発していたのですが、
垂直離着陸できるハリアーが実用化したことによって
スチームカタパルトを備え、予算のかかる英国最後の正規空母「アーク・ロイヤル」は退役しました
これが1978年の事。
左が「アークロイヤル」右は「ニミッツ」
明らかにサイズが違うことが分かる。E-2Cを運用するにはニミッツ程度の甲板の広さが必要


解体されたのは1980年。
フォークランド紛争後、ある英国海軍士官は「アークロイヤルがあればフォークランド紛争など起こさせなかった」と語っています

起きなかったかどうかは別として、損害は多少減っていたと思います。
但し、AEWは上に写真を載せたダサイやつですが。

まあ、この教訓から軽空母にもAEWを載せるため、英軍はヘリコプター型のAEWを開発したのでした
ウェイストランド シーキングAEW
ヘリの横についてる丸い物体はレーダー

飛行時はこのように垂れ下がります


イギリス軍が計画しているV-22オスプレイの派生型案「EV-22 オスプレイAEW」の想像図


他の反省点といえば、空中給油機の航続距離不足です

ブラックバック作戦の記事でも紹介した通り、フォークランドはあまりにも遠すぎて空中給油機の航続距離が足りませんでした。
そのため、航続距離の長い空中給油機を購入しています

フォークランド紛争の後開発された空中給油機「ロッキード トライスターK1」
因みに、オスプレイにも空中給油機タイプがあります。
英国が導入する可能性も大いに有り得ます
仮にオスプレイに空中給油機型が出来れば、米空母での艦載機運用も楽になりますし、
英海軍での空母運用でも、航続距離と武装を増やすことが出来ます
空中給油試験を行うオスプレイ


(空母から最大重量の武装で発艦するためには燃料が満タンでは重すぎて飛ばないので、
現在は燃料を減らして発艦した後に同じF/A-18で空中給油を行っている。
これをオスプレイが出来るようになれば燃費も改善されるし、連続してさらに多くの機体に対して空中給油が出来て、作業効率が上がります

軽空母等の場合は、今まで出来なかった空中給油が出来るようになり、作戦行動半径が一気に伸びます
例えばフォークランドの場合では「ハリアーの燃費の悪さと搭載燃料の少なさを、艦載型のオスプレイが空中給油して補う」なんて事ができるわけです)

現在行われているF/A-18からF/A-18への空中給油



次回は、このフォークランド紛争の戦訓を「とある国」にどのように反映されるか、
反映されているかを見て行きましょう





0.1Monaでも頂ければ次の記事への原動力となります
寄付:MSmPH9ptv8Vp8N3JMjFCgQ25ucXv3xKTAo



0 件のコメント:

コメントを投稿